2023年10月30日 15:31 | 無料公開
千葉地裁
八街市内の自宅で同居する祖母=当時(88)=を刺して殺害したとして、殺人罪に問われた派遣社員、金子祐治被告(31)の裁判員裁判判決公判が30日、千葉地裁であり、福家康史裁判長は「突発的とはいえ、強固な殺意に基づく危険な犯行態様」として懲役12年(求刑懲役16年)の判決を言い渡した。
福家裁判長は判決で、農家の跡継ぎとして優遇されていた兄に「不満を感じていた被告の心情は理解できる」としつつも、犯行動機は「プロポーズなどに必要な資金を用意できない焦燥感やいらだちを祖母にぶつけ八つ当たりに近く身勝手」と指摘した。
19日の論告求刑公判で検察側は、消費者金融や祖母などに借金があった被告が「祖母と金銭を巡る激しい口論により、犯行に至った」と主張。2度にわたり刺した犯行は「積極的な殺意」があり「犯行態様が悪質で動機、経緯にくむべき事情がない」としていた。
弁護側は被告が祖母から「まともに生活できてんのは兄だけじゃねえか。お前ら、もういらねえよ。死んじまえよ」と言われ、精神的に追い詰められた突発的な犯行と説明。「積極的な殺意」はなく、深く反省し、自首していることから懲役8年が相当としていた。
判決によると、昨年12月24日正午ごろ、自宅で祖母のカツさんの胸部などを包丁(刃体約16・8センチ)で2回刺し、殺害した。