「パンデミック条約」制定へ 医薬品の技術移転促進、WHO

WHO本部に掲示されたロゴ=ジュネーブ

 【ジュネーブ共同】感染症の世界的大流行(パンデミック)への備えや対応を定めた新たな国際ルール「パンデミック条約」の制定が16日、確実となった。世界保健機関(WHO)加盟国がスイス西部ジュネーブの交渉会合で同日、条約案に合意した。パンデミック対策に関する医薬品の技術移転促進などが柱。条約案は5月のWHO総会で採択される見通し。

 パンデミック条約は、新型コロナウイルス禍での甚大な被害や経済の混乱を教訓として、WHOが新設を目標にしていた。条約案では、各国の監視能力強化や病原体の情報共有といった感染症対策の国際協力の重要性を明記。感染症に関するワクチンの増産や製造技術の移転、科学的根拠に基づく迅速な情報伝達の仕組みづくりも目指すとしている。

 会合は今月7日に始まった。最後まで加盟国間で隔たりがあった技術移転や、製造されたワクチンの一定割合をWHOへ無償提供といった点で合意に至った。

 WHOから離脱を表明した米国は会合に代表団を送っていない。

 条約の交渉は2022年2月に始まった。


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