理事長は退任を 千葉県、勧告で幹部刷新求める 福祉施設虐待

 知的障害がある児童らが入所する袖ケ浦市蔵波の県立福祉施設「養育園」で昨年11月、入所者男性(19)が職員から暴行を受け、その後死亡した事件で、千葉県は21日、施設を運営する社会福祉法人「千葉県社会福祉事業団」に対して、近藤敏旦理事長の退任を含む事業団幹部の刷新を求めるなどの改善勧告を行った。勧告は4回目で、結果報告書の提出期限は来月末。

 県は立ち入り検査を精査した結果、現在の事業団幹部について組織運営の管理責任が明らかになったとした上で、現状では虐待防止体制の整備が困難と判断。勧告は事実上、近藤理事長に退任を求めたほか、前常務理事や同施設の前施設長を事業団の主要業務に復帰させないように要請した。

 事業団が運営する他の施設の施設長や所長など幹部計6人も、外部からの職員を登用した後に管理職を解くように要望。前常務理事らに対しては懲戒を含め厳正に処分することも盛り込んだ。

 また、養育園の職員全員に対し外部講師による研修などを通して支援方法や虐待防止の教育を徹底することを明記。職員の増員や給与のアップなど現場の処遇改善も求めた。

 県は理事長ら幹部の人選に関して、県知的障害者福祉協会などに推薦を依頼。「地域との連携も重要になる」として、県内の人材を中心に事業団に紹介するとしている。理事長職は1966年の事業団発足以来、近藤理事長まで県の関係者が務めてきた。

◆「力不足否定できない」
 勧告を受け事業団の近藤理事長は同日、記者団の取材に応じ「私自身が障害者福祉の経験や知識がなく、職員を管理する能力が足りなかったことは否定できない」と述べ「責任は非常に重い。外部の適当な方が見つかり次第、辞任したい」との意向を示した。また、他の施設幹部についても「処分を行い、厳正に対応する」とした。

◆支援専門員ら派遣を検討
 千葉県障害福祉課は21日、養育園などに相談支援専門員らを派遣する方針を明らかにした。外部チェック体制の整備を求めた県の第三者検証委員会の緊急提言を受けての対応で、既存の相談支援アドバイザー派遣事業を活用する。同課は来月の同委員会で承認を得てから、詳細を決定する。


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