2025年5月30日 08:34 | 無料公開

脳萎縮緩和の仕組み(イメージ)
脳性まひの主原因となる新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)を巡り、HIEで脳障害を引き起こす要因となる細胞にアミノ酸をつなげた「ペプチド」を注入すると、マウスで脳の萎縮を防げたと滋賀医大のチームが30日までに米医学誌に発表した。今後人に近い動物でも応用できるかどうかを確認、新たな治療法として期待できるとしている。
チームによると、HIEは出産前後に新生児の脳が酸素不足になり、神経が破壊されて起こる。脳の体温を下げて沈静化を図る低体温療法があるが、脳細胞自体を十分には保護できないため効果に限界があった。
今回注目したのが脳内で免疫を担う細胞「ミクログリア」。出産時に酸素や血流が不足すると、一部が炎症を引き起こす「炎症性ミクログリア」に変化して脳神経を破壊。脳性まひになることがあるという。
チームの寺島智也准教授らは、正常な細胞には影響を与えず、炎症性ミクログリアのみに結合する特殊なペプチドを開発。このペプチドは、ミトコンドリアの機能を止めることにより、細胞死を誘導する効果がある。