四季の千枚田、写真集に 輪島、復興願う被災男性

制作した写真集を持つ望月政男さん

 能登半島地震で被災した石川県輪島市の写真家望月政男さん(75)が市内の棚田「白米千枚田」の写真集を制作した。黄金色の稲穂が青い空と海に映える秋をはじめ、四季折々の風景を撮影。千枚田は地震と記録的豪雨で大きな被害を受けたが、再生途上の様子も収めた。「復興に向け、一人でも多くの人に見てほしい」と語る。

 昨年元日、仕事帰りに車で立ち寄った銭湯で地震に遭った。大きなけがはなく、家族も無事で、自宅も準半壊にとどまった。

 だが、地震は輪島の風景を一変させた。日本海に面した急斜面の約4ヘクタールに小さな棚田が連なる千枚田は、ひび割れが生じるなど約8割の田んぼに被害が出た。「朝市通り」は大規模火災に見舞われた。いずれも撮影を重ねてきた大切な場所だ。

 望月さんは輪島の美しい景色に心を奪われ、50年前に東京から移り住んだ。移住後に始めた写真撮影は、個展開催に加え、コンテストで最優秀賞を受賞するほどの腕前となった。輪島を愛するが故に、地震で変わり果てた風景を直視できず、カメラを構える機会はなくなった。


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