虹波、被爆者治療薬に使用 故谷口さんカルテも記載

故谷口稜曄さんに薬剤「虹波」を投与した際の結果を記録したカルテ(長崎原爆資料館提供)

 太平洋戦争中に旧陸軍が開発を進め、戦後にかけ国立ハンセン病療養所の患者に臨床試験で投与されていた薬剤「虹波」が、やけどなどの治療薬として広島、長崎の被爆者に使われていたことが3日、療養所関係者らへの取材で分かった。日本原水爆被害者団体協議会の代表委員を務めた故谷口稜曄さんのカルテにも投与を示す記載があった。

 虹波は写真の感光剤を合成した薬剤。国立療養所菊池恵楓園(熊本県合志市)では1942年に臨床試験が始まった。副作用が相次ぎ、影響が疑われる死者も出た。

 61年の「広島原爆医療史」によると、広島赤十字病院(当時)副院長は「助かったという人もいるし、死んだ人もある」と振り返っている。


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