「自立への階段」 『ピーターのいす』

 二歳の時、母が体調を崩し、私は母の実家に預けられた。「ぺっちゃんこがみたいよう」。夜泣きする私をおんぶして祖母は毎晩、子守唄を歌いながら庭を散歩した。「ぺっちゃんこ」はお月様のこと。月でウサギが餅を搗く「ぺったんこ」の音を、幼い口で真似ていたらしい ・・・

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