「流れ」 『方丈記』

  二年ぶりに帰省した。秋の安曇野に帰るのは、何年ぶりだろう。もしかしたら、嫁いで以来かもしれない。八十になる母がしきりに会いたがっても、猫がいるからと先送りにしてきた。寒くもなく暑くもない今の時期なら、猫に留守番をさせても苦ではなかろうと決断した。餌と水をたっぷりと用意し、後ろ髪を引かれる思いで出発した。 ・・・

【残り 1167文字】



  • Xでポストする
  • LINEで送る