「燃える」 『版画・山頭火』

  山頭火の句に出会ったのは、三十になったばかりの夏だった。帰省した折、大糸線の穂高駅に隣接したギャラリーに入った。扉を開けた瞬間、正面にあった梟の版画に眼を奪われた。秋山巌さんの作品で、素朴で力強い線の版画だった。梟の子の困ったような眠いようなまなざしが、何ともいえず愛しげだっ ・・・

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