中谷順子選 【日報詩壇】

 季子(あんず) 船橋 鈴木久吉

青い空に
季子が熟するころになると
オレは 木に登り
「山が見えらあ~」と叫ぶ
-登らなくとも
見える山なのに

聞きつけて
隣のタミちゃんが出て来る
「食うか」とオレ
「うん」とタミちゃん
オレは麦藁帽子いっぱいに
杏子をもぎって下りてくる

「うんまいね」 ・・・

【残り 1411文字】



  • Xでポストする
  • LINEで送る