2021年5月18日 21:09 | 有料記事
「何でこんなものを買ったんだい? 買い物ひとつまともにできないのかい?」
姉が差し出した買い物カゴの中を見て、祖母が言った。祖母は薄ら笑いを浮かべていた。
ミーン、ミンミンミンミー。
耳障りな蝉の声が窓の向こうに聞こえた。姉は台所の床にじっと立ったまま、今にも泣き出しそうだった。裸足の足が小刻みに震えていた。
「ソーダを買って来なさい、っておばあちゃんが言ったから」
姉の代わりに答えた。
「ソーダと言われて、粉ジュースを買うかねえ。バカだねえ。しかも、封を切っちまったものなら、店には返せないじゃないか。役 ・・・
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