【ソーダアイスキャンディー】(4) 作・東野あゆみ

「何でこんなものを買ったんだい? 買い物ひとつまともにできないのかい?」

 姉が差し出した買い物カゴの中を見て、祖母が言った。祖母は薄ら笑いを浮かべていた。

 ミーン、ミンミンミンミー。

 耳障りな蝉の声が窓の向こうに聞こえた。姉は台所の床にじっと立ったまま、今にも泣き出しそうだった。裸足の足が小刻みに震えていた。

「ソーダを買って来なさい、っておばあちゃんが言ったから」

 姉の代わりに答えた。

「ソーダと言われて、粉ジュースを買うかねえ。バカだねえ。しかも、封を切っちまったものなら、店には返せないじゃないか。役 ・・・

【残り 2294文字、写真 1 枚】



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