「男の子だから切ってもいいんじゃ?」周囲の声に息子は… 母子2人でヘアドネーション 1200日の挑戦で知った我が子の一面

3年3カ月ぶりに髪を切る芯太郎さん=7月13日、千葉市美浜区
3年3カ月ぶりに髪を切る芯太郎さん=7月13日、千葉市美浜区

 7月半ばの休日、千葉市美浜区の美容室「Ari・gate」で、1人の小学生が鏡に向かっていた。腰に届きそうなロングヘア。伊藤芯太郎さん(8)=同市美浜区=は3年生の男の子だ。「ヘアドネーション」のために、母親の志穂さん(48)と一緒に髪を伸ばし始めて3年と3カ月がたち、ようやく寄付ができる長さになった。芯太郎さんは、共に成長してきた髪がなくなるのは「ちょっとだけさびしい」と口にした。でも誰かの役に立つ。そろってはさみを入れてもらった志穂さんは、この期間を経て息子の新たな一面を知ることができた。(報道部・増淵あかり)

髪を切る前の志穂さんと芯太郎さん=6月15日、千葉市美浜区
髪を切る前の志穂さんと芯太郎さん=6月15日、千葉市美浜区

32センチの髪を寄付

 ヘアドネーションは、病気などの理由で頭髪に悩みがある子どもたちのために、寄付された髪でウィッグを作って届ける活動。ヘアドネーションには31センチ以上の髪が必要で、芯太郎さんは32センチの髪を寄付することができた。

 最初は緊張した表情で美容室の椅子に座っていたが、髪に美容師のはさみが入ると、笑顔がはじけた。しげしげと、切られた自分の毛束を観察。自分の髪が誰かのウィッグになるのは「ちょっと不思議」と照れた様子でつぶやいた。

「まさか続くとは…」息子の固い決意

 芯太郎さんが髪を伸ばし始めたのは、4歳上のいとこがヘアドネーションのために髪を伸ばしていた姿を見たことがきっかけ。髪を伸ばすことが人のために役に立つことを知って、いとこの背中を追い掛けるように髪を伸ばすことを決めた。まだ保育園に通っていた頃だ。



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