終戦の日故郷で空中戦 「米軍上陸」恐れ避難 松崎貞夫さん(90)=睦沢町 【戦後78年千葉 記憶をつなぐ】

78年前に空中戦のごう音を聞いた場所で、当時の状況を説明する松崎さん=睦沢町
78年前に空中戦のごう音を聞いた場所で、当時の状況を説明する松崎さん=睦沢町

 戦闘機が空中戦を展開する音を聞いたのは、1945年8月15日だったと記憶している。「米軍が一宮の海岸から上陸してくる」。既にそんなうわさ話が広がっていた。自宅は土睦村(現睦沢町)の上市場地区にあり、海岸からは5キロほどだった。

 少しでも内陸に避難しようと、リヤカーに布団を積み込んで約2キロ離れた父親の実家に運び込んだ。自宅に戻る途中の山林内で「銃撃音や飛行機が旋回するごう音がして、一緒にいた父が『空中戦だ』と言って崖下に逃げ込んだ」と振り返る。

 上空は樹木に覆われていて何も見えなかった。静かになり近くにあった神社の境内に向かうと、火がくすぶっている飛行機の部品のようなものを見つけた。東京や千葉市方面へ向かう米軍のB2 ・・・

【残り 5962文字】



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